液化ガス冷凍とは?メリット・デメリットを解説
食品は長期間の鮮度を保つために冷凍保存技術が欠かせませんが、ひとくちに冷凍保存といってもさまざまな方法があります。中でも液体窒素などを利用して急速に冷凍できる技術が「液化ガス冷凍」です。
今回は、液化ガス冷凍の仕組みやメリット・デメリットについて紹介します。液化ガス冷凍の特徴を知りたい方、冷凍設備の導入を検討中の方などは参考にしてください。
液化ガス冷凍の基本的な仕組み
液化ガス冷凍は、液体窒素や液化炭酸ガスといった超低温の液化ガスを食品に直接吹き付けて凍結する急速冷凍方式です。液体窒素はマイナス196℃という極めて低い温度を持ち、ほかの冷凍方式とは比較にならないほどのスピードで食品を一気に凍結できる点が最大の特徴となっています。
仕組みとしてはシンプルで、専用のトンネルや庫内を通過する食品に対して、ノズルから液化ガスを噴霧する形で熱を奪っていきます。気化する瞬間に大量の熱を吸収するという物理的な性質を利用しており、エアブラスト式やブライン式と比べても圧倒的に短い時間で食品の中心温度を下げることが可能です。
また、空気を冷却するための冷媒や熱交換器を必要としないので、機器そのものの構造が比較的シンプルにまとまります。霜取り作業も不要で、洗浄やメンテナンスの手間が少ないことから、衛生管理が厳しく求められる食品工場でも扱いやすい冷凍方式として位置づけられています。
液体窒素や液化炭酸ガスは取り扱いに注意が必要なイメージを持たれやすいものの、急速冷凍機内では密閉された配管を通って噴出される設計のため、適切に運用すれば危険性は抑えられる仕組みです。
液化ガス冷凍のメリット
液化ガス冷凍はスピード・品質・運用面のそれぞれにおいて、他方式にはない明確な優位性を持っているのが特徴です。ここでは、液化ガス冷凍を行うメリットをいくつか紹介します。
超急速凍結による高い品質維持
メリットとして大きな点は、他の冷凍方式を圧倒する凍結スピードです。マイナス196℃の液体窒素やマイナス79℃前後の液化炭酸ガスを直接食品に吹き付けることで、マイナス1℃〜マイナス5℃まで一瞬で凍らせることができます。
この凍結時に形成される氷結晶は極めて小さく、食品の細胞組織を傷つけることがほとんどありません。解凍後もドリップの流出が少なく、食感・風味・栄養価をほぼ生のままの状態で保てるため、鮮度が命となる高級食材の冷凍に最適な方式といえます。
大量生産にも対応できる
凍結時間が極めて短いというメリットは、生産能力の高さにもつながります。トンネル型の連続式装置と組み合わせれば、ベルトコンベアで流れてくる食品を次々に凍結処理できて、大規模工場での量産ラインに組み込みやすい点も大きな魅力です。
繁忙期に大量の食材を一気に処理しなければならない現場や、季節商品を短期間で集中生産する必要がある現場でも、液化ガス冷凍であれば供給能力の不足に悩まされにくくなります。生産性の高さがそのまま事業の収益性向上につながる方式です。
シンプルな構造で導入・運用しやすい
機器の構造がシンプルにまとまっているのもメリットのひとつです。冷媒を循環させる大型の冷凍機や熱交換器が不要なため、設備全体がコンパクトに収まり、導入時の設置スペースを抑えることができます。
霜取り運転が必要ない設計になっていることから、稼働率の低下を招く休止時間も発生しません。可動部分が少ないため故障リスクが低く、内部の洗浄も容易です。衛生基準への対応が求められる現場でも、清潔性を保ちやすい点は評価されています。
液化ガス冷凍のデメリット
優れた性能を持つ一方で、液化ガス冷凍には運用上の課題もいくつか存在します。導入を検討する際には、これらのデメリットを十分に理解したうえで判断することが重要です。
ランニングコストの高さ
最も大きな課題は、ランニングコストが高くつくことです。液体窒素や液化炭酸ガスは食品に直接吹き付けて消費していく仕組みであるため、稼働すればするほどガスの補充が必要となり、継続的なコスト負担が発生します。
ガス供給の契約や定期配送の手配も欠かせず、安定した運用を行うためにはガスメーカーとのパートナーシップが必須となります。導入時のイニシャルコストが抑えられたとしても、長期的なトータルコストでは他方式を上回る可能性があるため、生産する食品の単価とのバランスを慎重に見極める必要があります。
超低温による食品への影響リスク
超低温の液化ガスを直接吹き付けるという特性上、食品に亀裂が入ってしまうリスクがあります。特に水分を多く含む食品や、薄くスライスされた繊細な食材では、急激な温度差によって表面が割れたり形状が崩れたりすることがあります。
また、液化炭酸ガスは水に溶けやすい性質があり、食品表面で水分と結びつくと酸性の液体が生じます。これが原因で食品の色が変わったり、風味に影響が出たりするケースもあるため、対象食材の特性を踏まえた慎重な凍結条件の設定が必要です。
取り扱いに専門的な配慮が必要
超低温の液化ガスを扱うことから、運用面では一定の専門知識と安全対策が求められます。直接触れれば凍傷の原因となるだけでなく、密閉空間で気化したガスが充満すれば酸欠を引き起こすリスクもあるため、換気設備や安全装置の整備は不可欠です。
オペレーターへの教育や定期的な安全研修も必要となり、運用体制の整備に一定のリソースを割かなければなりません。導入後の保守管理を含め、安全運用のための社内体制をどう構築するかが、液化ガス冷凍を活かすうえでの重要なポイントとなります。
液化ガス冷凍が活躍する食品工場
液化ガス冷凍は、すべての食品工場に向くわけではありません。コスト面を含めた特性を踏まえると、その性能を最大限に活かせる現場には一定の傾向があります。
高級食材を扱う工場
液化ガス冷凍が最も力を発揮するのが、タラバガニ・ズワイガニ・伊勢エビといった高級海産物や、高品質な和牛などのプレミアム食材を扱う工場です。これらの食材は1グラムあたりの単価が高く、冷凍時の品質劣化が商品価値に直結するため、ドリップを最小限に抑えられる液化ガス冷凍の特性が活きてきます。
ランニングコストの高さも、商品単価に反映できる範囲内であれば十分にカバーできるため、付加価値の高い食材を扱う工場ほど投資対効果を出しやすい方式です。鮮度が売り物となる商材において、競合との品質差を生み出す重要な手段となります。
季節集中型の生産を行う工場
おせち料理や季節限定の冷凍食品など、特定の時期に生産が集中する工場にも液化ガス冷凍は適しています。短期間に大量の食品を凍結処理する必要がある現場では、超急速凍結による高い処理能力が生産計画を支える大きな武器となります。
繁忙期だけ稼働率が跳ね上がるような生産形態の場合、エアブラスト式などでは処理能力が追いつかないケースもありますが、液化ガス冷凍であればピーク時の需要にも柔軟に対応可能です。生産機会のロスを防ぎ、商機を最大限に活かしたい工場におすすめできます。
加工工程に冷凍を組み込む工場
近年では、単に保存目的で凍結するだけでなく、加工工程の一部として液化ガス冷凍を活用するケースも増えています。たとえば食品表面に液体をコーティングする前段階で表面だけを瞬時に固める用途や、食材を粉砕しやすくするために一時的に凍結させる用途など、製造プロセスの効率化に貢献する場面が広がっています。
このように冷凍を、保存ではなく加工のための手段として位置づける工場では、超急速凍結という液化ガス冷凍ならではの性質が大きな強みとなります。新しい冷凍食品の開発や独自の加工技術を生み出したい工場にとって、検討の価値は十分にあるといえるでしょう。
まとめ
液化ガス冷凍の仕組みやメリット・デメリットについて紹介しました。超低温の液化ガスを利用したこの技術は、取り扱いに専門的な配慮が必要にはなりますが、その分高級食材を扱うような工場などでも幅広く活用できる特徴があります。
冷凍機を扱う際は適切な使用方法を把握したうえで、安全に配慮しつつ業務の効率化、食材の鮮度確保に努めましょう。本記事で解説したメリット・デメリットなどを参考のうえ、用途や予算にも応じた急速冷凍機を選んでみてください。
- ジャンルを問わない急速冷凍機
-
3Dフリーザー/株式会社コガサン
引用元:https://kogasun.com/3Dフリーザーは、世界初の特許技術による冷凍で食品の美味しさをキープしたまま保存できる点が食品業界で評価を得ています。
繊細な飾りつけや、従来では冷凍ができないと思われていた食品など、「冷凍ができれば叶うのに…」と販路拡大や大量生産を諦めていた食品事業者の方におすすめしたい急速冷凍機です。
