冷凍は、食材を長く保存できるだけでなく、うま味や栄養をそのまま保つための重要な技術です。実は、凍らせるスピードによって、食材の中の細胞や栄養の残り方が大きく変わります。本記事では、冷凍速度と栄養素保持の深い関係、そして美味しさを守る冷凍の秘密を解説するので、ぜひご一読ください。
冷凍速度が栄養に与える影響とは?
冷凍は、食材を長持ちさせるだけでなく、栄養やおいしさを守るためにも大切な保存方法です。しかし、どれくらいの速さで凍らせるかによって、食材の中の栄養や味わいに差が出るのです。ここでは、冷凍のスピードが栄養にどう関係しているのかを解説します。
ゆっくり冷凍は栄養が流れやすい
冷凍がゆっくりだと、食材の中の水分が時間をかけて大きな氷の結晶になります。この大きな結晶は細胞の壁を壊してしまいます。
細胞が壊れると、解凍したときに「ドリップ」と呼ばれる水分が流れ出ます。その中には、ビタミンCやビタミンB群などの水に溶けやすい栄養素が多く含まれており、結果として栄養が減ってしまうのです。とくに野菜や果物のように水分が多い食材では、この影響が大きくなります。
早く凍らせると栄養を守れる
一方、急速に冷凍すると、氷の結晶がとても小さくなり、細胞がほとんど壊れません。そのため、解凍しても水分や栄養が流れにくくなります。
また、急速に温度が下がることで、酵素や酸化のはたらきが早く止まり、ビタミンCなどの分解も防ぐことができます。つまり、速く凍らせることで「栄養をそのまま閉じ込める」ことができるのです。
保存中の温度も栄養に関係する
せっかく速く凍らせても、保存温度が安定していないと栄養が少しずつ失われてしまいます。冷凍庫の温度は−18℃以下を保つのが理想です。
温度が上がったり下がったりすると、氷の結晶が再び成長し、細胞が壊れて栄養が流れやすくなります。家庭では冷凍庫の開け閉めを減らすことがポイントです。
食材の美味しさを守る氷晶と栄養保持の関係
冷凍は、食材の美味しさと栄養をできるだけ保つ技術です。その鍵となるのが、冷凍中にできる氷晶(ひょうしょう)の大きさです。氷晶は、食材の中の水分が凍ることで生まれますが、そのサイズの違いが味や食感、さらには栄養の残り方に大きく影響するのです。
氷晶が味と食感を変える理由
冷凍中、水分がゆっくり凍ると大きな氷晶ができます。大きな氷晶は細胞の壁を押し壊し、解凍時に中の水分が外に出てしまいます。これが「水っぽさ」や「食感の変化」の原因です。
たとえば、いちごや豆腐などを冷凍して解凍すると、やわらかく崩れやすくなるのはこのためです。一方、急速に凍らせて小さな氷晶を作ると、細胞の形がそのまま保たれるため、解凍してもみずみずしさやハリが残ります。つまり、氷晶の大きさは舌ざわりや見た目にも直結しているのです。
栄養も一緒に閉じ込める「小さな氷晶」
味だけでなく、氷晶の大きさは栄養の保持にも関係しています。細胞が壊れると、水分と一緒にビタミンCやB群などなどの水溶性の栄養が流れ出やすくなります。逆に、細胞がしっかり守られていれば、栄養も中にとどまりやすいのです。
つまり「食感を守る冷凍」は「栄養を守る冷凍」ともいえます。氷晶を小さくすることが、食材の品質そのものを保つことにつながるのです。
食材の栄養を守る冷凍テクニック
食材をただ冷凍庫に入れるだけでは、せっかくの栄養が失われてしまうこともあります。ここでは「どのくらいの速さで凍らせるか」と「どうやって保存するか」という2つのポイントに注目して、栄養を守る冷凍のコツを紹介します。
家庭でできる「早く凍らせる」工夫
まず、食材を小分けにして平らに広げることが大切です。こうすると冷気がよくとおり、早く凍ります。また、金属トレーやアルミ皿の上に置いて冷凍すると、熱が伝わりやすく、凍結スピードがさらに上がります。
冷凍庫の温度を−18℃以下に設定し、冷気がよく回るように詰め込みすぎないこともポイントです。新鮮なうちに冷凍することで、栄養の減少を最小限に抑えられます。
保存方法にも注意を
凍らせたあとの保存状態も、栄養を守るために大切です。冷凍庫の温度を安定させるようにし、何度も開け閉めして温度が上がらないようにしましょう。
また、空気に触れると酸化が進み、栄養や風味が落ちるため、密閉できる袋や容器を使うのがおすすめです。冷凍焼けを防ぐため、袋の空気をしっかり抜くことも忘れないようにしましょう。
前処理でさらに栄養を守る
食材によっては、冷凍前にひと手間加えると栄養をより保てます。たとえば野菜は、軽くゆでて(ブランチング)から冷凍することで、酵素の働きを止めてビタミンの減少を防げます。果物なら、変色を防ぐために少量のレモン汁を加えてから冷凍するとよいでしょう。
魚や肉は水分を拭き取り、ラップでしっかり包んでから保存することで、うま味や栄養を逃がしません。
解凍にも気をつけよう
せっかく栄養を守って冷凍しても、解凍の仕方で台無しになることがあります。常温で長時間置くと、栄養やうま味が流れ出てしまうため、冷蔵庫でゆっくり解凍するのが理想です。また、凍ったまま調理できるものは、そのまま加熱するほうが栄養の流出を防げます。
まとめ
冷凍は、ただ食材を保存するための方法ではなく、美味しさと栄養を閉じ込めるための技術です。ポイントは「どれだけ早く凍らせるか」と「どんな状態で保存するか」。急速に冷凍して小さな氷の結晶を作ることで、細胞を壊さず、栄養やうま味、水分をそのまま保つことができます。さらに、冷凍庫の温度を安定させ、空気を遮断する工夫をすれば、酸化や冷凍焼けを防げます。食材ごとに適した下ごしらえや解凍方法を心がけることで、栄養の損失を最小限に抑えられるでしょう。少しの工夫で、家庭でもプロのように「美味しさも栄養も守る冷凍」ができます。冷凍のスピードと保存のコツを知って、毎日の食卓をもっと健やかに、美味しく楽しみましょう。
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