セントラルキッチンは、飲食店などが複数の場所で食事を提供する際に効果的な調理システムです。大規模な調理場において、大量に一括で調理し、各店舗に配送して提供スタイルで、コスト削減と生産性向上を実現しています。この記事では、セントラルキッチンの仕組みや、導入するメリットについて詳しく解説しているので参考にしてください。
セントラルキッチンとは
セントラルキッチンは、複数の店舗や施設、飲食店で提供する食材を一括調理するために設置された、大規模な調理場のことです。各店舗が独自に調理器具や食材を用意する代わりに、一か所でまとめて調理を行い、各店舗に配送する手法をとります。
食材や調理器具、人件費などのコストを削減でき、生産性の向上が期待されるシステムです。とくに飲食店や弁当の店舗など、複数の場所で同じ食事を提供する必要がある場合、品質の一貫性が保たれるセントラルキッチンは非常に効果的です。
提供地域や店舗数に関わらず、一定の品質の食事を大量に必要とする企業や病院、学校給食などにとって効率性の高い手法といえます。
セントラルキッチンのメリット
セントラルキッチンを導入することで、さまざまなメリットがあります。セントラルキッチンは作業効率化やコスト削減だけでなく、安全性や環境への配慮にも優れたシステムです。
コスト削減
まずは、コストを削減できるという点が挙げられます。大量の食品をひとつの場所でまとめて調理することで、食事を提供する店舗ごとに人件費や食材を用意する必要がありません。さらに、各店舗への食材輸送も必要なく、人件費や輸送費のコストダウンが期待できます。
安全
次に、安全管理しやすいという点もメリットです。セントラルキッチンでは、食品の品質管理や衛生管理をひとつの場所で一元的に実施できます。ミスが起こりにくく、従業員の安全教育の手間の削減や効率化も期待できます。
また、セントラルキッチンは、大量の食材を、冷凍などの方法によって長期間保存できるため、食品の劣化を避けられるでしょう。
メニューを多くできる
続いては、メニューが多様化できるという利点もあります。セントラルキッチンは敷地面積が非常に広い傾向があり、専門的な機材の設置が可能です。よって、多様なメニューを提供でき、顧客の好みや需要に柔軟に対応できるでしょう。
品質維持
また、食事の品質に偏りがなくなるという点も重要です。セントラルキッチンでは、多くの料理を一度に大量につくるため、作業工程が少なく、異なる味や質が生まれにくいのが特徴です。したがって、一貫性のある料理を提供し続けられるメリットがあります。
環境にやさしい
環境負荷が軽減されるという利点も見逃せません。セントラルキッチンでは、品物や食品を効率的に管理できるため、廃棄物の減少やエネルギーの効率的な使用により環境負荷を低減することが可能です。
セントラルキッチンのデメリット
セントラルキッチンのデメリットについても確認しておきましょう。
運搬時間がかかる
ひとつの調理場所で集中して調理するため、ユーザーに食事を提供する店舗などに運ぶための運搬時間が必要です。このため、運搬中に食品が劣化する可能性があり、冷蔵、冷凍などによる管理が不可欠です。
画一的なメニュー
また、店舗ごとに独自のメニューを作りにくいというデメリットも存在します。提供するメニューは、セントラルキッチンにおいて大量に作られた料理がメインになるため、提供する店舗においての柔軟性が制限され、各店舗が独自のニーズに対応しにくい点が課題です。
導入コスト
セントラルキッチンを導入するには、大規模な敷地に多くの調理器具や設備、システムなどを用意しなければならず、大きな導入コストがかかります。システムとしては非常に有益ですが、導入したいと思ってもコストの問題で導入を断念せざるを得ない場合もあるでしょう。
さらに、大量に料理を作る必要があるため、人材の確保が課題となります。通常の調理とは違い、大きな設備を稼働させられる専門的な料理人が必要であり、その人材不足が導入の障害となることもデメリットのひとつと考えられます。
食品ロス
セントラルキッチンは、食品ロスが発生しやすいのがデメリットです。コスト削減の一環としてセントラルキッチンを採用する場合でも、食品ロスに対する管理が不十分であれば、逆に費用がかさんでしまいます。ロスを抑える仕組みを盛り込むなど、慎重な導入が必要です。
【冷凍・冷蔵・チルド】セントラルキッチンの調理法
現在、セントラルキッチンでの調理は「チルド・冷蔵・冷凍」の3つの方法をとることが一般的です。
チルド
チルドは、セントラルキッチンで調理された食品を急速に冷却して冷蔵状態で保管し、チルド車で配送する方法のことを指します。温度管理には、細心の注意が必要です。0〜3℃の温度帯ですばやく冷却してから保存・配送します。
衛生管理がよい状態では1〜5日ほど保存できること、解凍する必要がなく、冷凍焼けなどの心配が少ないことなどがメリットです。また、店舗における食材の盛り付けを省略できることもあり、料理の盛り付けにおいての効率化も大きな長所です。
一方で、チルド調理・配送にはデメリットもあります。各工程での衛生管理と、管理を実現する設備が必要です。配送するチルド車内の温度は、常に一定に保たれなければなりません。
冷蔵
冷蔵では、大量の食品を調理した後、冷蔵庫に保管して冷却し続けることで品質を維持します。解凍などの作業が必要ないこと、セントラルキッチンにおいて盛り付けまで終了していることがメリットであり、料理の配膳までより効率化できます。
一方で、賞味期限が短いこと、生産ロットが少ないため配送の頻度が多くなることなどがデメリットです。
冷凍
冷凍は、調理済みの食品を急速冷凍することで食品の栄養価や味、食感を保持できる手法です。セントラルキッチンにおける主な冷凍方法として急速冷凍法などが挙げられます。
大量の食品を一気に冷凍する際は急速冷凍・タンク式など、小分けにして必要な量だけ冷凍したい場合には、パック式冷凍を用いるのが一般的です。冷凍調理・配送のメリットは、長期保存を実現できること、衛生・品質管理が非常に簡単になること、冷凍することで配送地域が遠方でも可能になることです。一方で、冷凍・解凍が必要になることや、冷凍調理ができないこと、冷凍に向いていない食品があることもデメリットになります。
セントラルキッチンの流れ・作業工程
セントラルキッチンの作業工程は、大量の食事を提供するために効率化されています。以下に、流れを紹介します。このようなセントラルキッチンの流れによって、大量の食事を一貫して、高品質かつ効率的に提供できるのです。
食材調達
まず、食材の調達から始まります。多くの飲食店や病院、施設に提供するためには、大量の食材が必要です。生産者や卸業者との契約や直接取引により、新鮮で品質の高い食材の確保が求められます。
仕込み
次に食材の仕込みが行われます。あらかじめ決められたメニューに従い、洗浄や下処理、調味料の配合などを実施し、調理のための準備を整えます。
調理
施設やメニューによって異なる要件に対応するため、また効率的な調理を実現するために、最適化された調理器具や方法、定められた調理時間などに従い調理します。栄養バランスや味を統一した調理が可能です。
検品
調理が終わったら、検品・品質管理が行われます。衛生面や味、見た目、栄養バランスなどを徹底的にチェックし、高品質な食事を提供するための基準を満たしているか確認する工程です。
包装・配送
最後に包装・配送が行われます。調理が終わった食事は適切に包装され、ラベルが貼られた後、店舗や施設に配送されます。食材の鮮度や品質を保つために、運搬中には温度管理が徹底されています。
まとめ
セントラルキッチンは、大量の食事を一貫して効率的に提供する仕組みのひとつです。多くの店舗や施設における食事提供において、コスト削減と生産性の向上をもたらすだけでなく、新鮮で品質の高い食事の安定供給にも貢献しています。
しかし、導入コストが高いなどのデメリットもあるため、よく検討して導入するようにしましょう。
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