食品を長く保存するためには冷凍するのが有効ですが、凍らせておけばいつまででもおいしく安全に食べられるわけではありません。今回は、冷凍食品の賞味期限やおいしさをキープするコツに加え、賞味期限切れの判断方法などについても詳しく解説します。冷凍食品を頻繁に購入する人や自宅で食品を冷凍している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
冷凍食品の賞味期限はどう決める?
市販の冷凍食品にはそれぞれ賞味期限が定められています。賞味期限は商品やメーカーによってさまざまですが、どのように決められているのか不思議に思う人もいるでしょう。ここでは、冷凍食品の賞味期限の決め方について詳しく解説します。
冷凍すると1年間の保存が可能
そもそも冷凍食品が冷蔵した場合と比較して長く保存できるのは、食品が凍ることによって運動エネルギーが抑制され、酸化を遅らせたり、微生物の活動を止めたりできるためです。冷凍食品の基準として、−18度の環境下で保存することが挙げられます。
冷凍した食品は、−18度以下の環境下で保存していれば1年間は鮮度を保てます。
冷凍食品の賞味期限は企業で定める
先述の通り、食品を一度凍らせれば、−18度の環境下で1年間は品質をキープすることが可能です。しかし、すべての冷凍食品が賞味期限を1年と定めているわけではありません。基本的に、市販されている冷凍食品の賞味期限はそれぞれの企業で定められます。
冷凍食品として認定を受ける際には、規定に沿って保存試験を実施するため、試験の結果を受けて期限を定めることになります。また、そもそも腐敗や劣化に関係なく、企業が想定するおいしさ・風味などの品質が保てているかどうかも賞味期限を決める際の重要な要素です。
食品が劣化する理由
冷凍した食品の品質を判断する際には、劣化をすすめる原因となる要素を押さえておくことが重要です。ここでは、冷凍食品が劣化する理由について詳しく解説します。
乾燥
乾燥は食品を凍らせる際、品質保持の観点からもっとも大きな課題となる要素のひとつです。冷凍食品の乾燥は、冷凍庫の扉を開閉する際に庫内の温度が変化することで水分が抜けやすくなって進行します。
乾燥が進むと出来立てと比較して食感が大きく変わってしまうほか、表面が乾くことによってひび割れが起こり、見た目も損なわれてしまいます。さらに食品から抜けた水分が商品パッケージの中で凍り、パッケージ内が霜だらけになるケースも少なくありません。
酸化
先述の通り、冷凍した食品は温度を守って保存すれば運動エネルギーが抑制されますが、化学反応がまったく起こらなくなるわけではありません。そのため、冷凍庫の中でも徐々に酸化は進行しています。
また、先述の通り、冷凍食品は扉の開閉によって乾燥しやすいですが、水分が抜けると脂質がさらに酸化しやすくなります。
タンパク質の変性
冷凍食品に含まれるタンパク質は、冷凍庫の中で少しずつ変性していくのが特徴です。酸化と同じく乾燥によってさらに進行しやすくなるため、できる限り乾燥を防ぐことが重要です。タンパク質の変性が進むと、赤い汁のようなドリップがでたり、食感が悪くなったりします。
おいしさを長持ちさせるコツ
冷凍食品のおいしさを長持ちさせるには、冷凍保存時にいくつかのポイントを意識することが重要です。具体的な内容は以下の通りです。
空気に触れさせない
食品を凍らせる場合は、空気を入れずにラップでぴっちりと包み、さらに空気を抜いた状態でジッパー付き保存袋などに入れておくのがおすすめとなります。ラップと保存袋に入れることで空気に触れにくくなり、食品の乾燥・酸化などを防がことが可能です。
また、加熱後の食品を冷凍する場合には、あら熱を取ってからラップで包むのがポイントです。温かいままで包むと、ラップの中に湯気が水蒸気となって付着するため、腐敗や品質低下の原因となります。
加熱してから冷凍する
調理してから冷凍できる場合には、火を通して菌を死滅させるためにもしっかりと加熱したあとで冷凍するのがおすすめです。加熱後の冷凍は、解凍してすぐに食べられるという点にもメリットがあります。
味付け後に冷凍する
醤油や砂糖、塩、タレなどで味付けしてから冷凍することで、調味料の塩分や糖分が水分を引きつける効果を発揮します。そのまま冷凍するよりも乾燥・酸化しにくいため、おいしさを長持ちさせることが可能です。
食品の長期保存は急速冷凍がおすすめ!
冷凍は食品を長く保存するのに役立つ方法のひとつですが、冷凍時に急速に温度を下げて凍らせることで、さらに品質を高めて冷凍保存できます。ここでは、急速冷凍について詳しく解説します。
急速冷凍がおすすめな理由
市販の冷凍食品が自宅で作った料理を冷凍するのと比較して安全に長持ちする理由は、業務用の機械を使って急速冷凍しているためです。食品を凍らせると、その過程で氷の結晶が大きくなる関係から食品の細胞が破壊されて品質が低下してしまいます。
急速冷凍すれば細胞の破壊を抑えられるため、質をキープしたままで冷凍保存することが可能です。最近では、家庭用の冷蔵庫にも急速冷凍機能が搭載されている製品が増えています。
急速冷凍のメリット
冷凍時に食品の細胞が破壊されると、水分が抜けて乾燥したり、うまみや風味、食感を損なったりする原因となります。急速冷凍すると氷の結晶が大きくなることを防げるため、細胞の破壊を抑えることが可能です。
そのため、食品そのものの風味や食感、みずみずしさを残した状態で長期にわたって保存できます。
【食品別】賞味期限切れの見極め方
冷凍食品は食材ごとに大まかな賞味期限が決められています。たとえば、生の牛肉・鶏肉は12か月、豚肉は6か月ほど保存可能です。また、火を通して調理したものはさらに長持ちするため、コロッケであれば12〜18か月、グラタンであれば15〜18か月もの間安全に保存できます。
以下では、賞味期限切れの判断がつかない食材について、見極め方を紹介します。
一度解凍していないか
冷凍食品を解凍後、再度冷凍すると味や風味が落ちるだけでなく、長く保存できなくなるのが特徴です。たとえ賞味期限内であったとしても、解凍後に再度冷凍したものは口にしないのが安心です。
霜がついていないか
冷凍食品の霜は食材から抜けた水分であるため、パッケージや保存袋の中が霜だらけの場合は、質が落ちていると考えられます。また、食品から水分が抜けると冷凍やけしてしまう可能性もあります。
開封済みでないか
とくに市販の冷凍食品は、一度パッケージを開封していると中身が空気に触れてしまうため劣化しやすいです。一度開封したものは、期限にかかわらず早めに食べるのがおすすめです。
パッケージが膨らんでいないか
冷凍食品のパッケージが膨らんでいる場合、扉の開閉による温度変化などでパッケージの中の空気が膨張している可能性があります。また、冷凍の過程で腐敗が進んでパッケージが膨らんでしまうこともあります。
温度変化による膨張であれば品質には問題ないケースがほとんどですが、腐敗が進んでいる場合には食中毒などを引き起こす原因にもなるでしょう。パッケージが膨張している場合は、期限内であっても食べないようにするのが賢明です。
家庭で冷凍した場合の賞味期限は?
市販の冷凍食品には賞味期限が記載されていますが、家庭で調理した食品や購入した食品を冷凍する場合には、賞味期限の判断が難しくなります。冷凍庫の温度は−18度を保つのが基本ではあるものの、家庭用冷蔵庫は業務用のようなパワーもなく、開閉も激しいことから温度変化も起きやすいです。
そのため、たとえスーパーなどで購入した冷凍食品であっても、温度変化によって冷凍食品に含まれる油が酸化することで、本来の品質を保ちにくくなります。
家庭で冷凍保存する際の賞味期限は、自分で調理したものや購入したものを冷凍する場合は1〜2か月、購入した冷凍食品の場合は4か月が目安となります。とくに自分で調理したものを冷凍する場合は、保存期間が長くなるほど品質や安全性も落ちてくるため、できる限り早めに消費するようにしましょう。
まとめ
今回は、冷凍食品の賞味期限や食品が劣化する理由に加え、おいしく冷凍するコツや賞味期限の判断方法などについて詳しく解説しました。冷凍食品の賞味期限は約1年間と言われていますが、実際には企業ごとにそれぞれの基準や求める品質に合わせて賞味期限が設定されています。
乾燥や酸化による劣化を防ぐためには、ラップをぴっちりと巻いて保存袋に入れることや、加熱・味付けしてから冷凍することなどがポイントです。また、賞味期限切れかどうかの判断がつかない場合には、霜や冷凍やけの有無をチェックしたり、パッケージが膨らんでいないかを確認したりするのが有効です。
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