企業や施設、店舗において、食品の安全性を守るための機械のひとつにブラストチラーが挙げられます。ブラストチラーは食品を冷却するための機械であり、導入によりさまざまなメリットを得られます。今回は、ブラストチラーの概要や特徴に加え、導入メリットや注意点についても解説するため、利用を検討している人はぜひ参考にしてください。
ブラストチラーはなんのためにある?
ブラストチラーはお弁当・お惣菜のお店など、食品を作る現場において使われている機械です。ここでは、ブラストチラーの概要や必要性について詳しく解説します。
ブラストチラーとは
ブラストチラーは、調理したあとの温かい状態の食品を急速に冷やすための機械です。ブラストチラーに入れた食品は、庫内で冷気をあてることで約3度まで冷却されます。
ブラストチラーと冷蔵庫の違いとは
ブラストチラーは食品を冷却するための機械であるため、冷蔵庫で代用できるのではと考える人もいるでしょう。しかし、冷蔵庫はすでに冷めた状態の食品を冷たいままで保存するための機械です。
出来立ての温かい料理を入れると熱が機械に負担をかけたり、すでに庫内に保存してある食品が傷んでしまったりする原因となり得ます。そのため、調理したばかりの食品は庫内には入れられず、あら熱が取れて冷めた状態にする必要があります。
対して、ブラストチラーは温かい状態の食品を冷ますための機械であるため、作り立ての料理をそのまま庫内に入れることが可能です。
ブラストチラーの必要性
料理の際に食中毒を防ぐためには、食品をよく加熱することが重要であると思われがちです。もちろん食材の加熱も重要な要素ですが、調理後の温度にも気をつけなければなりません。食品の菌が増えるのは10〜45度の温度帯です。
そのため、食品を生産する現場においては、出来立てから冷ます過程で通る10〜45度の温度帯を素早く通り過ぎることが重要となります。ブラストチラーは冷気を吹きつけることで、スピーディーに食事を冷ますことが可能であるため、菌が増殖しやすい温度帯にとどまる時間が非常に短くなります。
また、最近では施設や病院などでの食事提供において、調理した食事を冷却して保存しておき、提供時に温め直してから配膳する「クックチル」の導入例が多くなりました。ブラストチラーで食品を急速冷却できれば、より食事の安全面・衛生面が担保されるでしょう。
ブラストチラーを利用するメリット
ブラストチラーの導入メリットは、以下の通りです。
食品の安全性がアップする
先述の通り、ブラストチラーを利用することで、菌が増殖する温度帯をすぐに通過させることが可能です。また、あら熱が取れるまでキッチンで冷ます必要がなくなるため、食品そのものではなく空気中や調理器具に存在している細菌、異物、虫などの付着・混入を防止できます。
出来立てのおいしさをキープしたまま保存できる
調理後の食事を冷ましていると、食品の中の水分や香りが湯気となって逃げていきます。また、乾燥が進んで食品の色味も悪くなりやすいです。ブラストチラーで急速冷却することで、湯気を最小限に抑えて出来立てのおいしさをキープすることが可能です。
現場の業務効率化につながる
ブラストチラーを導入すれば、調理した食事が冷めるまで待つという時間が不要となります。出来立ての食事をすぐに入れられるため、時間短縮や業務効率化につながるでしょう。現場の負担が軽減されることで、空いた時間をほかの業務にあてることが可能です。
ブラストチラー使用時の注意点
ブラストチラーを使用する際の注意点について解説します。
日々のお手入れが必要
ブラストチラーは食中毒の菌を増やさないために急速冷却できる機械ですが、庫内で菌が増殖していては意味がありません。ブラストチラーを使用しない夜間などは、冷却時よりも内部の温度が高くなります。
ブラストチラーの内部に食品がこぼれていたり、汚れなどが付着していたりすると、夜間に菌が増殖してしまう可能性も少なくありません。使用前後は内部の清掃・殺菌などのお手入れが必要となるため、お手入れの担当者を決める、お手入れ後に専用用紙にサインを残すなどの工夫を取り入れましょう。
食数に応じた台数や使い方を見極める
規模が大きい施設や病院では、食数や調理スケジュールの関係から、ブラストチラーが複数台必要となるケースもあります。ブラストチラーを導入する際は、それぞれの施設にあった使い方や台数を見極めてください。
まとめ
今回は、ブラストチラーの概要や必要性に加え、導入メリットや使用時の注意点などを詳しく解説しました。ブラストチラーはお惣菜・お弁当などを販売するお店や病院、施設などで使用されている機械であり、出来立ての食事を急速冷却して菌の増殖を抑える役割を持ちます。
また、冷気をかけて一気に冷ますことで湯気の発生を最小限に抑えられるため、香りやみずみずしさをキープしたまま保存することが可能です。
注意点として、使用前後の清掃と殺菌を必ず実施すること、食数や施設規模に応じた使い方を見極めることなどを頭に入れておきましょう。ブラストチラーの導入を検討している人は、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。
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