アニサキスが寄生している魚を加熱せずに食べると、食中毒を引き起こすことがあります。日本では、生魚を食べる習慣があることから、食中毒被害の発生も少なくありません。そこで、今回は、どのような食中毒症状を引き起こすのかに加え、食中毒予防の具体的な方法について解説します。
目次
アニサキスが引き起こす症状
アニサキスが寄生した魚を生のまま食べると、体内に入り込み、胃で消化されずに胃を食い破ろうとします。その際に、激しい腹痛が引き起こされたり、吐き気を感じたりします。
なお、アニサキスが引き起こす症状には大きく分けてふたつの種類があり、「急性胃アニサキス症」「急性腸アニサキス症」が代表的です。健康被害のほとんどが急性胃アニサキス症ともいわれており、体内に入り込んだアニサキスが胃を食い破ろうとする際に発症する症状です。
通常、急性胃アニサキス症は、アニサキスが寄生した生魚を食べてから数時間から数十時間の間に発生します。主な症状としては、吐き気を伴う激しい腹痛です。一方、急性腸アニサキス症は、体内に入り込んだアニサキスが腸を破ろうとするときに発症します。
アニサキスが体内に入り込んでから、約数十時間から数日後に発生することが多く、急性胃アニサキス症はよりも後に発症することが一般的です。急性腸アニサキス症の主な症状は、下腹部に激しい痛みが発生し、腹膜炎が引き起こされます。
さらに、症状が発生するタイミングが遅れると、腸閉塞や腸穿孔が併発することもあります。
なお、アニサキスアレルギーが発祥するケースも少なくありません。アニサキスアレルギーとは、文字通りアレルギーの一種であり、そのものに対してアレルギー反応が引き起こされ、血圧の低下や呼吸不全、蕁麻疹などの症状が起きることがあります。そのため、死滅していてもアレルギー反応が引き起こされる可能性があるのです。
アニサキスはどんな魚に潜んでいるのか
基本的に、どのような魚にも寄生している可能性があります。ただ、鯖、アジ、サンマ、イワシといった青魚に寄生している可能性が高いです。そのほか、イカやカツオ、タラなどにも寄生していることがあります。中でも鯖は寄生率が高いことで知られています。
というのも、鯖はもともと傷みの進行が早いため、アニサキスが内蔵から筋肉へと移動しやすく、寄生しやすい環境にあるのです。そのため、一般的には鯖を生で食べる習慣はほとんどないでしょう。とはいえ、日本ではしめ鯖を食べる習慣があります。
しめ鯖の場合、酢でしめるといった加工を施していることから、アニサキスが死滅し、食中毒にはならないと思われている方もいるでしょう。しかし、酢には死滅される効果はないので、しめ鯖であっても寄生している可能性は十分にあります。そのほか、生で食べる習慣があるイカ、カツオにも注意が必要です。
アニサキスはどう対処する?食中毒の予防法
アニサキスによる食中毒を防ぐには、魚が新鮮なうちに内蔵を除去することが大切です。アニサキスは、魚が死んだ後に内蔵から筋肉へと移動していきます。魚が新鮮なうちであれば、まだ筋肉へと移動していない可能性が高く、その間に内蔵を取り除くことで一緒に除去することが可能です。
とはいえ、スーパーなどで売られている魚の場合、すでに魚の鮮度が落ちていたり、切り身の状態で売られていたりすることから、この方法を実践することはできないでしょう。では、スーパーなどで売られている魚において、どういった対処ができるのでしょうか。
切り身の場合、じっくりと魚を確認し、アニサキスが寄生していないかを目視でチェックしましょう。アニサキスは、目に見える大きさであることから、仮に寄生していたら動いているのがわかります。
とはいえ、目視で確認し、取り除いたつもりであったとしても、完全に取り除けていないケースも少なくありません。そのため、魚を生で食べるのではなく、加熱させることが大切です。70℃以上で加熱することで、死滅します。魚を加熱すれば死滅するので、食中毒になる心配もないでしょう。しかし、お寿司やお刺身にように、生魚を食べるときには、加熱することはできません。
その場合、魚を一旦冷凍する方法がおすすめです。魚を冷凍することでアニサキスが死滅します。ただ、冷凍温度と時間が重要であり、冷凍度合いが不十分であれば完全にアニサキスが死滅していないケースもあるので注意しましょう。
冷凍処理するときは、家庭用の冷凍庫の場合、48時間以上かけて冷凍することがポイントです。一度、しっかりと冷凍すれば、解凍してもアニサキスが生き返ることはなく、アニサキス症が発生することはありません。
ただし、アニサキスアレルギーは、アニサキスの存在自体に反応する症状であることから、死滅していても発症するので注意が必要です。
アニサキス対策に急速冷凍が有効な理由
アニサキスによる食中毒を防ぐためにも、魚を加熱したり、冷凍したりすることが大切です。ただ、魚を加熱すると、生魚ではなくなってしまうことから、お寿司やお刺身には適した対処法とはいえないでしょう。そこで、おすすめなのが冷凍処理です。
厚生労働省において「-20℃で24時間以上中心部まで冷凍する」と定められており、十分な冷凍処理が必要であることがわかります。しかし、一般的な家庭用冷凍庫の場合、設定温度が-18℃程度なので、最低でも48時間以上かけて冷凍処理をしなければなりません。
また、業務用冷凍庫であっても、アニサキスを死滅させるには、24時間以上かかってしまいます。そのため、スーパーで生魚を購入しても、アニサキスによる食中毒を予防するためにも、そこから丸2日以上かかってしまうのです。
なお、家庭用、業務用問わず、冷凍庫には、「デフロスト」という冷凍庫内にあるファンに付着した霜を取り除く機能が備わっており、24時間のうち、4回ほどデフロストが稼働します。デフロストが稼働すると、冷凍庫内の温度が約5~10℃上昇するので、設定温度である-18℃や-20℃を維持できません。
つまり、厚生労働省が定めている「-20℃で24時間以上中心部まで冷凍する」というのは、家庭用だけでなく業務用冷凍庫であっても、実現できない可能性が高いのです。
-24℃設定の業務用冷蔵庫であっても、-20℃に達するまでに約360分かかることから、24時間の冷凍では不十分であることがわかります。そこで、おすすめなのが「急速冷凍」という方法です。急速冷凍であれば、25分程度で-20℃まで達することから、24時間程度でしっかりと魚の中心部まで冷凍することが可能です。
家庭でアニサキスを防ぐには?
家庭でアニサキスを防ぐには、魚を購入する前に、パックの表示を確認しましょう。パックに「解凍」と書かれている場合は、一旦冷凍されたという意味であることから、アニサキスが生存している可能性が低いといえます。
もし、冷凍しているかどうかをラベルから判断できない場合は、スタッフに尋ねてみるといいでしょう。また、先述の通り、アニサキスは目視で確認することができるので、実際に調理する前や食事する前に、寄生していないかどうかをしっかりとチェックすることもおすすめです。
もしくは、急速冷凍を活用することで、短時間で十分に冷凍処理でき、アニサキスを死滅させることが可能です。また、短い時間で冷凍することで、魚の鮮度も保てるのもメリットといえるでしょう。そのほか、加熱調理して食べることも有効な対策となります。
まとめ
アニサキスは、鯖やアジなどの青魚に寄生していることが多く、寄生している魚を生のまま食べると食中毒を引き起こすことがあります。アニサキス症を発症すると、激しい腹痛や吐き気が引き起こされます。そのため、食中毒被害に遭わないためにも、しっかりと予防することが大切です。
完全に死滅させるには、冷凍処理がポイントとなります。ただ、家庭用冷凍庫の場合、設定温度が高いので長時間かけて冷凍しなければなりません。しかし、急速冷凍であれば、短時間で低温になることから、短い時間でアニサキスを死滅させることが可能です。
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